2022/08/09 情報福祉マネジメント学科

教員の声:小説中のネガティブさを測る(後編)

教員の声
学科の教育や活動について学科教員の視点でまとめて報告します。第18回目となる今回は岩田先生によるAIを活用した予測に関する話です。

それでは結果です。
図1.『走れメロス』におけるネガティブ段落の変化
図1.『走れメロス』におけるネガティブ段落の変化
まずは『走れメロス』(図1)。ご存知のように、この作品は短編で80段落もない作品です。図1は横軸に段落、縦軸に一段落に含まれるネガティブ文の割合です。なお、赤と黒の破線は、それぞれ、0.50と0.33を示しています。以下では、ランダムで文章ができていると仮定すると、文がネガティブとそれ以外と捉えると0.5、ネガティブとポジティブ、ニュートラルの3つとすると1/3が目安ととなるので、0.5を超えるとかなりネガティブ、0.33を超えるとまあネガティブと考えて検討してみましょう。図1から、ネガティブな文章の比率の高い段落は序盤に多いですが、中盤以降はほぼありません。

セリヌンティウスに縄がかけられ、メロスが走り出しすのが25段落目なので、走り出してからは冷静で、割りと冷めて走っているのが伺えます。「メロスは単純な男だった。」と文中にありますが、BERT的には単純でありながら冷静な男のようです。また、最後もネガティブな割合は低いことから、最後の場面もやってることはネガティブっぽいですが、そうでないと予測できています。
 
図2.『変身』におけるネガティブ段落の変化
図2.『変身』におけるネガティブ段落の変化
 続いて、『変身』も見てみましょう(図2)。

こちらも長い作品ではありませんが、序盤、中盤、終盤とまんべんなくネガティブな部分があります。序盤は虫になるあたり、中盤はりんごを投げつけられるあたりまで、終盤は138段落目にグレゴール?ザムザが亡くなるあたりでネガティブな段落が多くなっていて、物語として澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な部分と一致性があり、ネタバレになってしまうので、多くは述べませんが、この起伏は『変身』の物語展開をよく反映しているように思います。

したがって、いろいろ問題はあるのですが、段落中のネガティブ文の比率はある程度、お話の起伏を捉える手法になりそうです。
 最後は『こころ』です(図3)。

こちらは長編に分類される作品で、確かに長いのですが、全体的に赤い破線を超えていて、かなり鬱な内容であることがグラフからでも見て取れます。したがって、人がそう思うようにBERTも鬱小説だとみなしていると考えてよいでしょう。


段落中のネガティブ文の割合では必ずしも段落がネガティブかどかを判断できませんし、探せば、この分析法の欠点はたくさんあると思いますが、15分くらいで実行可能なので、興味のある方はやってみると面白いかもしれません。また、各人なりの仮説を持って分析を行って、結果をみるのも楽しいと思いますので、ぜひ、やってみてくださいね。

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